韓国子会社の勤怠を本社から見える化 — 日本語で使える勤怠管理の選び方
韓国子会社の勤怠を日本本社から把握するには、現地スタッフと日本人駐在員が同じ仕組みで打刻し、本社の担当者が日本語でその記録を確認できる環境が近道です。選ぶ際は、言語だけでなく、韓国の勤労基準法と日本の労働基準法の違い、両国の祝日、位置情報の同意、データの保管場所まで確認しておくことが大切です。この記事では、選定時のチェックポイントを順に整理します。
韓国子会社の勤怠管理でよくある課題
- 現地では韓国語のシステムや紙・Excel で管理しており、本社からは月末の集計表しか見えない
- 駐在員は日本の感覚、現地スタッフは韓国の制度で働いていて、ルールの違いが整理されていない
- 集計が担当者個人の作業に依存しており、担当者の交代時に引き継ぎが難しい
- 残業時間や休暇の残日数を、本社が必要なタイミングで確認できない
韓国では週単位の延長労働の上限(勤労基準法第53条)があり、2026年4月には実労働時間に基づく手当の支払いを求める包括賃金に関する雇用労働部の指針も施行されました。本社が「月末の合計」だけを見ている状態では、こうした確認が後手に回りがちです。
選ぶときの確認ポイント
1. 言語:現地スタッフと駐在員が同じアプリを使えるか
現地スタッフは韓国語、駐在員と本社担当者は日本語で使えることが理想です。従業員が使う打刻アプリと、管理者が使う画面の両方が日韓2言語に対応しているかを確認しましょう。同じアプリで言語だけを切り替えられれば、記録は1か所にまとまり、本社と現地で別々の表を突き合わせる手間が減ります。
2. 両国の法律と祝日に合わせた集計ができるか
韓国と日本では、休暇や割増賃金のルールが異なります。たとえば年次休暇は、韓国が勤労基準法第60条(1年以上・出勤率80%以上で15日、上限25日など)、日本が労働基準法(6か月継続勤務で10日、年5日の取得義務など)に基づきます。韓国では官公署の公休日を有給休日とする規定(第55条第2項)が常時5人以上の事業場に適用されるなど、祝日の扱いも国ごとに確認が必要です。拠点ごとに国のルールと祝日カレンダーを設定できるかを確認しましょう。
3. 時差がないことを活かせるか
韓国と日本は同じ標準時(UTC+9)を使っているため、日付の区切りや締め日を両国でそろえやすいのが利点です。本社と同じ日の同じ時刻の感覚で記録を確認できます。他の国の拠点もまとめて管理する場合は、タイムゾーンの設定方法もあわせて確認しておきましょう。
4. 本社からどこまで見えるか(権限と出力)
- 本社・現地の管理者・部門責任者で、見られる範囲を分けられるか
- 月別の出勤簿を PDF などで出力でき、監査や確認に使えるか
- 給与計算に渡せる CSV などの形式で出力できるか
- 残業・休暇の申請と承認がシステム上で記録に残るか
- 打刻の修正履歴が残り、後から誰がいつ直したか分かるか
日本の厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)では、始業・終業時刻は使用者の現認、またはタイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録などの客観的な記録を基礎として確認・記録することが原則とされています。韓国子会社でも、同じ水準の記録を残せるかを一つの目安にすると、本社としての説明がしやすくなります。
5. 位置情報の扱い:韓国の位置情報法と同意
スマートフォンの GPS で打刻する場合は、韓国の「位置情報の保護及び利用等に関する法律」(위치정보의 보호 및 이용 등에 관한 법률)を意識する必要があります。同法は、本人の同意なく位置情報を収集・利用・提供することを原則として禁じており(第15条)、個人位置情報を収集する際は、約款に必要事項を明示して本人の同意を得ることを求めています(第18条)。また本人は、同意の全部または一部をいつでも撤回でき、収集・利用の記録の閲覧なども求められます(第24条)。
確認したい点は次のとおりです。
- 位置を記録するのは打刻の瞬間だけか、勤務中に継続して追跡するか
- 位置情報の利用について、従業員の同意を取得し、その日時を記録できるか
- 同僚や管理者に見える情報は何か(正確な座標か、勤務場所の名前か)
- 古い位置情報の保存期間や、精度を落とすなどの扱いが決まっているか
- 提供事業者の位置情報に関する届出などの状況
6. データの保管場所と管理
勤怠データには氏名や勤務時間、位置などの個人情報が含まれます。データがどの国・地域のサーバーに保管されるか、韓国の個人情報保護法上の国外移転の扱いを含めて、提供事業者に確認しておきましょう。あわせて、保存期間を過ぎた記録や退職者の情報の扱い、従業員本人による自分のデータの閲覧・訂正・削除の求めへの対応、解約時に全データを持ち出せるかも、選定時に確認したい点です。
7. 導入と運用の手間
現地スタッフ全員にアプリを配布し、機種変更のたびに設定し直すのは、本社から見えにくい負担です。インストールの要否、従業員の招待方法、端末を替えたときの手続き、料金が人数に応じてどう決まるかを確認しておくと、導入後の手間を見積もりやすくなります。
確認ポイントの一覧
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 言語 | 従業員アプリ・管理画面の両方が日本語・韓国語に対応しているか |
| 法律・祝日 | 韓国の年次休暇・日本の年5日取得義務など、国ごとのルールと祝日に対応しているか |
| 本社からの確認 | 権限の分け方、出勤簿・CSV 出力、申請・承認の記録 |
| 記録の信頼性 | 修正履歴が残るか、誤った記録を上書きせずに訂正できるか |
| 位置情報 | 記録のタイミング、同意の取得と記録、見える範囲 |
| データ | 保管場所、保存期間、退職者データ、全データの出力 |
| 運用 | インストールの要否、招待方法、機種変更時の手続き、料金体系 |
本記事は一般的な説明であり、個別の判断は韓国の労務士(公認労務士)等の専門家にご確認ください。
IROON でできること
IROON(イルーン)は、従業員アプリ・管理者画面ともに日本語と韓国語で使える GPS 出退勤記録アプリ(PWA)です。アプリストアからのインストールは不要で、リンクを開いてホーム画面に追加するだけで、Android・iPhone のどちらでも使えます。位置は出勤・退勤ボタンを押した瞬間に一度だけ記録し、常時追跡はしません。同僚には勤務場所の名前だけが表示され、登録時に位置情報の記録への同意とその日時を保存します。韓国の年次休暇と日本の年5日取得義務、国ごとの祝日・休憩のルール、部門ごとの管理者権限、月別出勤簿の PDF と給与用 CSV、修正・削除できない変更履歴に対応しています。30日間の無料体験(カード登録不要)でお試しいただけます。
参考資料
- 韓国法制研究院(KLRI)「Act on the Protection and Use of Location Information」英訳(Act No. 17689, 2020年12月22日改正版)(2026年10月8日閲覧)
- 韓国法制研究院(KLRI)「Labor Standards Act」英訳(Act No. 21373, 2026年2月19日改正版)(2026年10月8日閲覧)
- 雇用労働部 報道資料「「공짜노동 근절을 위한 포괄임금 오남용 방지 지도 지침」 4월 9일부터 시행」(2026年4月)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)
- 厚生労働省「ガイドラインの主なポイント」(リーフレット)
- 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定」(2026年10月8日閲覧)